「さて、次はお前の番だな」

逃げるように転げ出してきた(ってあれ、オレの部屋なんですけど!)綱吉に、リボーンは軽く言って足を叩く。
2人の濡れ場を目の当たりにして動機息切れが激しい。
ついでに最初にディーノに触れた時から、自分の息子さんが主張して仕方無かった。
結局自分には全く触れていないものの、思春期の少年には熱すぎる出来事だ。

「お、オレの番って」
「前戯も覚えたし、sexも間近で見てイメージ出来たろ?これもやるから行ってこい」

持て余している熱を見計らってリボーンはにやりと笑うと、先ほどと似たようなチューブを渡してきた。
それと共にキャンディを二つ。

「こ、これってさっきのジェル…!?…と、飴?」
「一緒に食うと雰囲気が良くなってリラックス出来るキャンディだ。持って行け」

へぇ、そんなのあるんだぁ…。
とすっかりリボーンのペースに乗せられて綱吉は興味深げにキャンディを見る。
暫く前に恋人になって、キスまでしたものの踏み出せなかった一歩。
それを助けてくれるかも知れないと思えば、先に進める気がする。

「身体を張ったディーノの為にも男を見せろ、ツナ」
「そ…そうだよねっ、教えてくれたディーノさんに報いる為にも、オレ頑張ろうかなぁっ!?」
「という事で、早速呼んどいた」
「こんにちは、十代目!お誘い頂けるなんて光栄っス!」
「んなーーーっ!?準備良すぎ!!」

振り返ったそこには嬉しそうに笑みを浮かべ尻尾を振る…もとい。
尻尾を振る勢いで目を輝かせている獄寺が居た。


* * *


(なんだか緊張するなぁ…)

リボーンに背中を押され(実際には蹴り飛ばされたわけだが)移動した先は獄寺の部屋だった。
綱吉の家に来たのは良いものの、自宅ではどう考えても甘い雰囲気になりにくい。

「今、ツナの部屋は取り込み中だからな。お前んちに招いてやれ」

呼び出したのにも関わらずそう言うリボーンにも、獄寺は嫌な顔一つせず頷いた。

「十代目をお招きできるなんて光栄です!」

相変わらずの忠誠心を見せて綱吉を促し現在に至る。

別に始めて入る部屋じゃなかった。
曲りなりとも恋人同士になってからは、2人きりになる為にちょくちょく来ているのだ。
キスをしたのもこの部屋だった。

難しそうな異国の文字の本が並び、ベッドと机があるシンプルな部屋だった。
もともとはなかったローテーブルにふかふかの座布団を敷いて綱吉は座っている。
ソファよりそちらの方が落ち着くだろうと、日本人の綱吉の為に用意してくれたものだ。

飲み物を用意してきます、とキッチンに向かった獄寺を、綱吉はそわそわしながら待っていた。

「お待たせしました、十代目」

ガチャリと扉が開くのに心拍数が2倍になった。
自室からの出来事でどうにも意識して仕方ない。
びくぅ…と身体を揺らすのがわかるほどで、獄寺はきょとんと目を瞬かせている。
しかしそれを咎めたり問い質したりはしない。

季節に合わせて暖かい紅茶を綱吉の前に差し出し、テーブルの中央には綱吉が好きだと言っていたチョコレート菓子。
紅茶から香るのも、前に美味しいと言ったアップルティーだった。
その心遣いに、暖かい思いがこみ上げる。

「ありがとう。オレが好きって言ったの覚えててくれたんだね」
「それは、十代目の事ですから」

礼を言うと照れくさそうに僅かに頬を紅潮させてはにかむ獄寺が、愛しくて仕方ない。

それから紅茶を口にして、じんわりと身体に解ける暖かさに緊張が解けて行った。
甘いチョコを食べて、取り留めのない話をして時間は過ぎて行く。
そんな事をしていると、何だか焦っていたのも馬鹿みたいに思えた。
綱吉はこうしてゆったりと過ごすのも好きだったから。

しかし、ふいに身動きをした時に感じたポケットの膨らみに当初の目的を、はっ…と思い出す。
ごそごそポケットに手を突っ込むと、まずは小ぶりのキャンディーを手に取って眺めた。

(これで何もせずに帰ったら、リボーンにまた何か言われそうだなぁ…)

いちいち報告するわけではないが、自分の家庭教師は馬鹿みたいに鼻が聞く。
何も言わなくても成功したかどうかくらい、綱吉の顔を見ただけで悟られてしまいそうだ。
ヘタレだの情けないだの、ダメツナだのとまた言われるかなぁ…。
無理に何かするよりはそれでも良いけど、と手の平でキャンディーを手遊びしていると。
不思議そうな獄寺の視線を感じた。

(いけない、会話が止まってた)

はっ…と顔を上げると獄寺は目を瞬かせ首を傾げる。
柔らかく笑みを浮かべたままの仕草が可愛くて、ドキ…と鼓動が跳ねた。
治まっていた熱が再燃しそうだ。やはり思春期の身体は、興味と期待からは逃れられない。

「何か、リボーンが…、リラックス効果のあるキャンディーだって」
「へぇ?ハーブとかそんな関係のでしょうか?」
「い、いや…オレも詳しくはわからないけど。食べる?」

そう言って差し出すと獄寺は嬉しそうに受け取り、何の躊躇いもなく口に入れた。
疑いも何も持たない様子に、綱吉は苦笑する。
でもそれが自分の行為だからこそと思えば、愛しさも溢れるのだ。

先に口に入れてしまったのを見れば、綱吉もつられてそれを口にした。
仄かに苺の香りがするそれは、程よい甘さで口ざわりが良く。確かにリラックス出来るような気がする。
しかし雰囲気が良くなるって、たかが飴で何か変わるものかなぁ…と。
綱吉は舌の上でころころ飴玉を転がしながら思っていた。

「美味しいけど、普通の飴だよね」
「…そ、…うですね…」

同じように舐めていた獄寺に小さく笑って話しかけると、何だか歯切れが悪い答えだ。
獄寺は癖なのか、カリカリと飴玉を齧っていて。まだ半分以上残っていた綱吉と違ってすでに口内にはないようだ。

不思議に思って様子を見ると、何だか頬が紅潮し瞳が潤んでいるような気がする。
少し前に見た兄弟子の艶っぽい表情と何だか似ているような気がして、鼓動が弾んだ。
しかも何だか…自分の体温も上昇しているような…?

「何か…熱い、ッスね…十代目…」
「そ、そう?…そう言われれば何となく」

はぁ…、と悩ましげに吐息を吐く獄寺に、綱吉は持ち前の勘の良さで飴の正体に気づいていた。
(雰囲気が出るって、もろにそーゆう薬が入ってんじゃないのかよー!)
きっとこれはエッチになる成分が入っているのだ。
リボーンの心遣いに口元が引き攣る思いだったが。同時に舐めてしまっている綱吉もどうやら後に引けない。
普通こういう物は、頂かれる側が摂取するものじゃないかと思うが。
リボーンの事だから、綱吉も同じ状況に追い込まなければ先に進まないとでも思ったのだろう。

どんだけヘタレ認定されてんの、オレ…。
がくりと頭垂れる思いだが、確かに獄寺だけがこの症状になってしまっても、普通に介抱しそうだったので。
リボーンの予想は間違っていなかったと言う事だ。

「ん…、何か…体調悪いのかも…すいません、十代目の前でこんな…」
「良いんだよ、獄寺君…オレも少し熱くなってきたし」
「十代目…も?」

ベッドの淵に寄りかかり甘い吐息を吐く姿に、綱吉ももう我慢も出来なかった。
もともと触れたくて仕方なかったのだから、ここまでお膳立てされて引き下がれるわけがない。
もうなるようになれ…と、獄寺の隣に座ると、そっと頬を撫でた。
途端にビクり…と身体が震える。

「んっ…、ぁ…」

僅かな刺激にも敏感な反応をして、甘い声を思わず漏らすのに、綱吉の理性は焼き切れそうだった。
変な声を出してしまい恥ずかしいのか、顔を真っ赤にして口元を覆っている獄寺に覆いかぶさり、綱吉は肩を掴む。

「ぁ…、十代…目…ぇ…」
「大丈夫だよ…、オレも同じ気持ちだから」

醜態を見せまいと必死になっている彼に優しくそう囁くと、獄寺は、ほ…っと安心して肩の力を抜いた。
そのまま首筋に顔を埋めて行くのに、止めようとはしない。
彼もまた、何となく…雰囲気の違いを悟っていたようだ。
寄り添う身体に身を委ねるように、綱吉の背に腕を回して抱き締めていた。


* * *


「っん…ぁ、ぁ…十代…め…、ダメですそんな…所」
「我慢して?ちゃんとしないと苦しいだけだから」

興奮のままお互いに擦り合って抜いた後、ベッドに寝かせて綱吉は後ろに指を這わした。

シャツを羽織るだけの姿が扇情的で煽られて仕方ない。
口では恥ずかし気に言うものの、獄寺は綱吉のする事を何一つ遮る事はなかった。

足を広げてて?と頼むのにも、羞恥に顔を真っ赤にさせながらもおずおずと己の膝を抱えて後ろを晒す。
従順な行動にも煽られて仕方ない。
けれど、傷つけたくないから、綱吉は持って来たジェルを撫で付けてゆっくり解して行く。

そんな場所を触られるのにどうしようもない羞恥を覚えるのだろう。
獄寺は全身をピンクに染めて、恥ずかしさに瞳には涙が浮かんでいる。

「別にオレ…、十代目が良ければそれで…いい、んですけど…」
「だぁめ、痛くしたくないし。窮屈だときっとオレも苦しいよ?」

すぐにシても良いと己を省みず言う獄寺に、綱吉はそう言って諭した。
綱吉も苦しいと言われれば、獄寺の言葉は止まってしまう。
ぐりぐりとジェルを撫で付ける感覚を必死に感受し、少しでもちゃんと受け入れられるように力を抜いていった。

健気な動きに、綱吉の胸がきゅんと搾られるようだ。
そうこうしているうちに指も3本ほどいけるようになって、そろそろかな…と思った頃。
獄寺は抱えていた足を離して、綱吉の腕を縋るように握ってくる。
どうやら彼もまた限界らしい。

「力抜いていてね」

優しくそう言うと、こくこくと何度も頷くのに笑みが零れた。
後ろに先端をあてがい、こくりと唾を飲み込んでから中に進んでいく。

「っんぁっ…ぁっ、ぁぁ、ァ…ッ」
「うわ…、凄…ぃ…、は…っく…緩めて、獄寺くん…っ」
「は、ふ…はぁ、は…ァ…ッ」

進入する熱さと質量に高く声を上げて身体を強張らせた獄寺は、締め付けられて苦しげな表情を浮かべる綱吉を見て懸命に息を吐いて力を抜いた。
初めて感じる中襞に動かなくても出てしまいそうだった。
緩んだ隙を見計らってぐぐ…と、押し込んで行くと、少し硬い感触のある部分を通り抜けた。

「ぁぁっ!…んっぅ…は…ぁぁぁ!」
「わっ…ぁ、ごくで、らくん!そんな締めちゃ…、ぁっぁ」

どうやら感じるポイントがあったのか、通過する際にきゅぅぅと締められて。
溜まらず綱吉は中に吐き出してしまっていた。
散々興奮させられていた所に包まれた自身を占められては一溜まりもない。
先にイってしまったのが恥ずかしくて、戸惑う綱吉に、獄寺は嬉しそうに笑みを浮かべた。

「十代目、の…暖かくて、堪らない…です」
「っ…獄寺、くんっ…!」

蕩けるようにそんな風に言われてしまっては、吐き出したばかりの自身はすぐに熱くなってしまう。
白濁で濡れて少しは楽になったそこに、綱吉は夢中で腰を突き動かした。

「ぁっぅ…、んっぁぁっ…十代…め、…ぇ…ぁっ、んン」
「は…っく、獄寺くん、凄い…熱くて気持ちい…」
「んっ…、ん…十代目…、名前…呼んでください、…ぁっん…」
「……!!…隼人…っ…!」

中の一部を擦られて感じるのか、薬の助けもあるのか。
最初の苦しさは息を潜め、獄寺の内部は柔らかく絡みついて。
また獄寺自身も硬く張り詰め、感じている事を表していた。

快感の中で溺れて請う愛しい願いに、綱吉は夢中で身体を揺さぶり何度も名を呼んだ。
その度に、中がきゅぅきゅぅと締め付けてきて堪らない快感が身体を満たす。

「んっ…く、隼人…、っ…はや、と…」
「ぁぁっ…ぁ、十らいめ…ぇ、…んん…、つなよし、さ…んっ…」
「っ…、ぁ…隼人…!」

すっかり溺れているのか決して呼ばなかった名前を獄寺が口走った時。
快感に上り詰めた綱吉自身が膨張して、中に欲の証を吐き出した。

「っあぁっ、…ぁぁァー…っ!…綱吉さ…ん…っ…」

それを受けて獄寺もびくん…と身体を大きく痙攣し、愛しげに名を呼んで己の欲を吐き出していた。


* * *


「大丈夫?」
「…大丈夫、です…」
「全く、リボーンも…リラックス出来るなんて嘘ついて…」
「……、…でも、オレ…嬉しかったです…」
「獄寺君」
「ようやく十代目に触れられて、堪らなく幸せです」
「…好きだよ」
「っ!!…お、…オレも大好きです…。十代目っ」
「ふふ、…ちゃんと言ってよ、隼、人」
「ぁ…、ぅ…、綱吉さん…大好き、です…」
「オレも隼人が大好きだよ…」

顔を真っ赤にして名を呼ぶ獄寺に嬉しそうな笑みを浮かべて、綱吉は彼の身体を抱き寄せた。
何か色々あったけど、これでミッションコンプリート…かな!
オレも幸せだし、ディーノさんも何か目覚めて、きっと幸せそうだし。
リボーンの思惑通りに乗せられたのは癪に障るけど。
みんな幸せなら、ま…いいか!



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2009.11.13


のわー、ヒバディノの上を行く乙女っぷり(笑)何だこの二人、恥ずかしい。
恥ずかしくて仕方なくて身悶えました。もう限界でした(自分が)
ツナ攻だと黒様が多いですが、良い子のツナが好きなので基本白ツナのままです(笑)
ただ、根底がSなんでこの人(爆)ごめんね…って言いながら凄い事しそうです。
ある意味雲雀より性質悪い。でも隼人君は幸せです(笑)