もどかしげにシャツを捲るのに合わせて上を脱いで。
ズボンを下げると、布に擦れる感触に恭弥のにも劣らず、自身が固くなっているのを感じる。
すでに熱いソレに艶笑して、恭弥は舌先で側面を舐め始めた。

「……ん、…っぅ」

濡れた感触にディーノの息が詰まる。
ぴちゃぴちゃと唾液を垂らして、まるでキャンディでも舐めるように舌を這わせ。
時折甘く唇で食まれれば、否応なしに快感が高まっていく。

「…ぁっ…ァ、…く…」

先端を、尖らせた舌先で擽れて、甘ったるい声が漏れた。

ディーノは高まる快感に熱く息を吐いて、ちらり…と視線を下げる。
すると、恍惚とした表情でソレに頬を擦り寄せる姿が視界に入って。
ごく…と、生唾を飲み込んだ。どうにも興奮が募って仕方ない。

程好い酒が入ると昂揚して、感覚が鋭くなる自覚はあるが。
今日はそれに合わせて、蕩けた恭弥の表情にたまらなく煽られて。
触れる場所全てから快感が溢れてくるようだ。

「…ぅん…、…ァッ、…っふ」

ビクビクと震えるソレに愉悦の笑みを浮かべ、恭弥は先から滲む液を指ですくい、後ろに撫でつける。
湿った指をつぷ…、と潜り込ませ、回りを唾液を乗せた舌でなぞった。

「ぅっぁ…っ!…ァッ…」

そんな所への舌の感触からか、思わず逃れようとする足を片方の手で抱えて。
ついでに中の指をぐりぐりと蠢かせると。突っ張っていた身体の力が抜けていく。
指を抜き差ししながら、唾液を垂らし、舌で接合部を濡らして。
掻きまわす内部からくちゅくちゅと濡れた音が溢れてきた。

淫猥な音が響いて、耳からも犯されているようだ。
どんどん篭る熱に息を長く吐き出すと、下からも擦れた呼吸が聞こえた。

「……は…、ァ…」

悩ましげな声に瞳を開けると、欲求を持て余しているのか恭弥の息が擦れていて。
ディーノはそっと、前髪を上げて額から頬を撫で「もう、いい…ぜ」と囁いた。
そのまま再び髪を撫でると、欲に濡れた瞳と視線が絡まる。

「……苦しいなら…、もう…来いよ。恭弥…」
「――…ん…、…」

ディーノが柔らかく微笑むと。恭弥は素直に、こくん…と頷いて。
中の指を引き抜き、自身の先端を変わりに当てる。

ぬる…と、したモノが当てられ、ディーノは身震いした。
恭弥ももう濡れていて、興奮しているのがわかるから。
ディーノは促すように足を広げると、腰を少し浮かして、そこを恭弥の先に擦り付ける。
こんな事、滅多にしないけど。オレもかなり…、恭弥に引きずられてる…
そんなディーノの嬌態に我慢できず、恭弥はそのまま腰を突き立てた。

「―――…っく…、ゥ…ッ」

包まれる快感に喉奥で低く呻く。
恭弥の先走りが潤滑油になって、灼熱の棒が内部を掻き分けて行く。

「…っ!んんっ…ァッ、ぁぁ、ぁ…っ!!…っぅ、ンッ…」
「……ん、…ぁ…、っ」

ずず…と、中襞を擦りながら入り込む熱に、ディーノの嬌声と恭弥の上ずった声が重なった。
狭いのも構わず恭弥がじりじりと腰を進めると、苦しさに細い悲鳴が漏れる。

「ひ…、っく…ぁ…、…はっ、ぁ、…はぁ…、っ……」

締め付けそうになる内部に、ディーノは必死に息を吐いて全身の力を抜いていった。
懸命な呼吸のおかげか、ぴったりと身体を合わせる頃には、中は柔らかく溶け出していて。
動ける余地を感じ、恭弥は奥まで収めたモノを今度は抜いて行く。

「あ、ぁぁ、…っ、ぅぁ…っ」
「…熱…っい…、ナカ…溶けそ…ぅ」

ギリギリまで抜いて先端を留めると、再度、今度は一気にソレを収める。
抜かれた喪失感とすぐに埋められる圧迫に、ディーノは首を仰け反らせて高く声を上げた。
絡みつく熱さに恭弥は大きく息を吐いて、腰を掴んで抽挿を始める。

「ぁっ、ぁっ…ァッ…、っふ…ぁ…、っ」
「ん、…くっ…、ぁ…」

ぎしぎしとベッドが鳴るリズムに呼応して、二人の感じ入った声が混ざり合う。

聞き慣れない恭弥の、感じた声がたまらなくて。
ディーノはもっと近くで聞きたくて、恭弥の身体をぐい…と引き寄せた。
当然深まる接合に、ぐちゅり…と、下から濡れた音が聞こえる。
恭弥の首に腕を回して、自らも腰を揺らすと。

「っく…、凄い…気持ち…い…」

耳元で感じ入った低い声が響いて、ざわざわと快感が増して行く。
ディーノは夢中で恭弥の背を掻き抱き、腰を擦り付けて中を引き締めた。

「……っ、ぁっ、恭弥…っ、ァッ…ぁ、ぁ、…」
「…ン…ッ、…ディ…ー、ノ」

中襞を擦る速度が増して、摩擦でぐちゃぐちゃに溶けそうになった頃。
熱っぽい声で名を呼んで恭弥はディーノを抱き締めた。

全身を揺さぶって、何度も中に突き入れながら、うわ言のように。
蕩けるような甘い声で愛しげに囁く。

「…っ、く、…ディーノ、ディーノ…、…ディ…、ーノ…ッ」
「―――っ!!ぁ…、…っぅ…っ、きょ…っゃ…っ!」

熱く熱く、何度も呼ぶ恭弥の声に、歓喜で全身が痺れて。頭が真っ白になる。
ぐり…と最奥を灼熱の塊が抉った時。ディーノはたまらず、絶頂へと駆け上がって。
きゅう…と中を引き絞り、自分の腹に精液を飛び散らした。

「…んっ!!…―――ぁっ…、ぁ、ぁ…っ」
「……う…、っく…」

キツく収縮する中襞に促されるように、恭弥も呻くと。
ぶる…と身体を痙攣させて、ディーノの奥へ熱い体液を吐き出した。
全てを注ぎ込むように緩く抽挿すると、接合した隙間から白いものが滲み出てくる。

「ふ…、ぁ…」

トロリ…と流れ出す感覚に、鼻にかかった吐息が漏れた。
それから一呼吸して。くたり、と恭弥の体重がかかって来る。

「…恭弥…?」

力の抜けた様子に怪訝に呼びかけても反応がない。
ディーノは状況に予想がついて小さく笑った。

抜ける感覚に眉を寄せながら、もたれかかる身体を何とか横に退けて。
横たわる恭弥の顔を除きこむと。
思った通り、すーすー…と寝息を立てている。

「……ったく」

一気に脱力して気が抜けてしまったのだろう。
ディーノは苦笑して恭弥の髪を撫で、ちゅ…と優しく額にキスをした。

(ホント、驚くような事しやがって…)

ディーノは先ほどの事を思い出して、思わず口元を緩ませる。

“…ディーノ、ディーノ…、…ディ…、ーノ…”

熱くて低くて、甘い…、恭弥の声が脳裏によみがえってくる。
あんな風に溺れるように呼ばれたのは、恐らく初めてで。
酒の勢いとはいえ、嬉しくてたまらなくて。愛しさが込み上げてくる。

(恭弥の誕生日なのに、自分がプレゼントを貰ったみたいだ…)

ディーノは照れ臭げに笑みを浮かべると、気だるい身体を恭弥の隣に横たえた。
いろいろ後始末とかしなきゃいけないが。
今はこの暖かな気持ちのまま、恭弥の体温と鼓動を感じていたいから。

シーツを手繰り寄せて恭弥にかけると、優しくその身体を抱き締めて。
さらさらの黒髪に、顔を埋める。

「Buon compleanno…、誕生日おめでとう…恭弥」

来年も、再来年も…10年後も。
ずっとこうして、二人で祝えるといいな。

そう祈りを込めて髪を撫でて。安らいで眠る恭弥の唇に。

そっと…キスをした。


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2008.05.14