2:視線に犯される


長い長いキスをし続けて、ようやく満足したのか、
互いにすっかり息が上がった頃に恭弥は口付けを止めた。
官能を煽られる深いキスに、身体が熱い。

いくら濃厚とはいえ、抑え切れないほど煽られるわけじゃないが…
ちら…と、横に座っている恭弥の表情を窺った。

「お前さ…、気持ち良くねぇのか?」

キスをしている間は吐息が乱れていたものの、恭弥は表情の変化が少なすぎて。
感じてないのかと疑いたくもなる。

「……良くなかったら、しないよ」
「ま、そうだよな…」

つまらなそうに答える恭弥に「少しはそーゆう顔しろよなぁ」と苦笑する。
ディーノの言葉に恭弥は無言のまま、目を細め。
おもむろに手を取るとズボン越しに自分のモノに触れさせた。
僅かに熱を持っているような気がして、目を見張る。
一応は、ちゃんと反応しているんだな…と、形を探るようにやんわりと握ると。
指の感触が伝わり、恭弥はさすがに息を詰まらせて、眉を寄せた。

「……誘ってるの?」
「あ、いや…、悪ぃ」

上目で、じろ…と睨まれ、ディーノは慌てて手を引いた。
ここは学校の応接室。授業が終わった直後の今の時間は、まだ学生も多く居るだろう。
そんな所で、これ以上煽るような事をしたら…

離れようとした手を恭弥に素早く捕らえられる。視線は、じ…っと、自分から離れない。
(ヤバ…)その瞳が色めいた気がして、ディーノは唾を飲み込んだ。

「恭弥…、今はやべぇって」
「……………」

口元を引き攣らせている声を無視して、恭弥はディーノの手を持ち上げる。
そのまま引き寄せ、ペロ…と舐めた。舌の感触にぞくりと背筋が震える。
指を口内へ導いて見せ付けるように舌を絡ませると、濡れた音が小さく響いた。

その間もずっと、金色の瞳を射るように視線は逸らされない。
長いキスや、雰囲気に流されそうになっている自分を見透かされているようで。
何だか居た堪れなくて、ディーノは視線を逸らした。
その、恭弥から意識を逸らした瞬間。とん…と身体が押された。
ふいをつかれて対応できず、軽い力だったのにあっさりとソファに倒されてしまう。

「こら、恭弥!…誰か来たらヤバぃだろ…」
「この場所に来る奴なんて、ほとんど居ないよ」

じたばたともがくが、腰に跨られ体重をかけられると、容易にはどかせられない。
その間に身体を添わせて降りた手が、ディーノの下肢に触れる。
ぎゅ…っとジーンズ越しに握られ、顔を顰めた。

「あなただって興奮してるじゃない」

明らかに固くなっているモノに、恭弥はほくそ笑んだ。
(そりゃあ…オレだって煽られてんだから、当たり前だろう…)
揶揄るように見下ろす視線に憮然とする。

状況的にはまずいと思うのだが。もう手遅れっぽいな…と、恭弥の目を見て溜息をついた。
相変わらずの無表情で、見慣れていなければわからないくらいの変化。
しかしディーノはこの目を良く知っていた。あの時に見せる…昂揚してる目だ。

「……っ…」

猛獣に射竦められた獲物のように固まっていると、恭弥はジーンズのチャックを降ろして中に手を差し入れる。
手の温度が伝わって、長いキスで燻っていた熱はすぐに再燃しそうだ。

(ああぁぁぁ…、ったく…なんではね退けられねぇんだか…)

力は自分の方が上だ。密着した今の状態なら、部下が居なかろうがどかす事くらいできる。
でも結局、自分は甘くて。こうやってする無茶を、我が侭としか思えなくて。
しょーがねぇなぁ…、なんて流されてしまうのだ。

強い抵抗がないのを良い事に、恭弥は太股に跨って、ずる…とモノを取り出した。
ここまでさせてしまってはもう同意とみなされるだろう。
ついでに止められない。(仕方ねぇ…)ディーノは諦めにも似た思いで、ソファの縁に頭を乗せた。
力を抜く様子にぺろ…と舌なめずりすると、恭弥は外気に触れたソレを容赦無く上下に扱いた。

「…っ…、く…」

直接に施される愛撫に、ディーノは眉を寄せる。
単調に何度か動かして感度を高めると、次はやんわりと包んで撫でる。
先端を指で刺激されて思わず声が出そうになり、ディーノは顔を腕で覆い口に当てた。

「ん…、…っ」
「…声は抑えても良いけど…」

恭弥は不満げにそう呟くと、ディーノの腕をどけさせる。
抗議しようと口を開きかけたら。ぐり…と、先端の窪みを指先で圧迫されて止められた。

快感に交じる痛みに、細く目を開けて恭弥を睨んで。ぎく…と、身体が強張った。
ずっと見ていたのだろうか。見据える黒い瞳と目が合ったからだ。

「……ぁっ…、ぅ…」

頬が紅潮するのを感じて咄嗟に顔を横に背けると、握力をかけられ、嬌声が漏れた。

(なんてぇ…目で、見やがる…)

表情は変わらないのに、目の奥だけは熱っぽい絡みつくような視線。
まるで視線に犯されている気分だ。
自覚すると感度が増すような気がして、心中で舌打ちをした。
見られて感じるなんて、おかし過ぎる。

すっかり熱を持って固くなったソレを、先走りの液を塗りつけて更に刺激を与えられ。
重点的にそこだけを愛撫されて、射精感が急速に高まっていく。

「んっ…ん、…ぅ…っ…ぁ」

必死で歯を噛み締めて、上げそうになる声を耐える。
顔を覆おうとすると止められるため、今はぎゅ…と拳を握って。

「……ぁっ…!っく…」

促されるように窪みに爪を当てられて、引き攣った呻きを上げて、手の中に性を吐き出していた。

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2007.10.20

何か似た話になっちゃうなぁ…(笑)恭弥の目力が悪いんですよ(爆)
いっそ視姦させようかと思ったんですが。前からの続きだから無理っぽくて(笑)
いつか、拘束でもしてからやらせようと思います(おい)
この10題、ずっとエロやってる事になるな。長いエロだな(笑)