3:指が熱い


応接室のソファに身体を預け、ディーノは、はぁはぁと荒く呼吸をする。
自分に圧し掛かっている人物を窺うと、恭弥は指に付いた白濁した液を舐めとっていた。
これ見よがしに舌を絡める様に、上気した頬がさらに熱くなる。
直視していられなくて、つい…と、目を逸らすと、小さく笑う音が聞こえた。

(このやろぉ…)

鼻で笑われたような気がして頬が引き攣る。やられてばかりでいるのもつまらない。
そう思って、手を伸ばして制服の上から恭弥のモノを掴んだのだが。

「…お前、平気なのか?コレ」

負けじと感じさせてやるつもりで握ったソレだったが、すでに充分固くて。
こんな状態で良く平然としていられるものだと、逆に驚いてしまった。

「平気に見えるなら…、あなたの目は節穴だね」

囁く声がやけに熱っぽく、耳朶に絡み付いて、ぞくり…とする。
一度達したばかりなのに、また熱が篭ってしまいそうだ。
ちゃんと声に興奮が現れていて、少し気分が良くなった。

「お前も辛そうだな…、出させてやるよ」
「どうせなら、あなたの中がいいんだけど」
「ばかやろ。こんな状況じゃ最後までやれねーって」

まだ外に学生が居る校舎で、いくらなんでもそこまではやりたくない。
恭弥が駄々をこねる前に、ディーノは早々に身体を起こして、逆に恭弥を押し倒した。
特に抵抗なく横たわる様子に、怪訝そうに首を傾げる。

「仕方ないから我慢してあげるけど、変わりに聞いてくれる?」
「それは内容によるぜ」
「…それなら、今すぐ体制を交替しても良いんだけど?」
「あぁぁ、もう。わーったよ」

眼下に瞳が怪しく細められて、ディーノはやむ無く了承した。
こういう時の恭弥を怒らすと、後の始末が悪い。取りあえず聞くだけ聞こう。
「で?何をしろって?」やれやれ…と思いながら問うと。
恭弥は、にぃ…と笑って、「反対向きになって、口でシてよ」と自分のモノを指さす。
別に、恭弥のをするのは構わないが…、反対向きってつまり。

「お…、前の顔を跨げって…?」
「そういう事。自分だけされるのは気に入らないから」

しれ、と何て事のないように言う恭弥に、がくー…と頭が下がる。
(ここで69しろってか…)
とんでもない要求に脱力しそうになるが。嫌だと言っても、状況は悪くなるだけな気がする。
仕方ねぇ、さっさとイかせりゃいいんだろ。
本人が聞いたら怒りそうな台詞を胸に、ディーノは、のそのそと身体を反転させた。
顔を跨ぐのに一瞬躊躇するが、腹を決めて頭の両側に膝をつく。

ふう…と一息ついて、恭弥のズボンのチャックを降ろして、固いソレを取り出した。
すでに何回かはやった行為だ。躊躇いもなく口に含んで、舌を絡め出す。
すると、下の方でごそごそやっていた恭弥も、同じように愛撫を始めた。

「……んっ…、ん…ぅ」

ぢゅ…と、吸う音が聞こえ、下肢から湧き起こる快感に、鼻腔から息が漏れた。
恭弥のが愛撫に呼応して熱くなるのに、息苦しさに耐えながら続ける。
そうして暫く没頭して、お互いにかなり高まってきた頃。突然訪れた刺激に、ディーノはびくん…と身体を揺らした。

「……っ!…、きょ…ぉ、や…っ、待…」

体内に侵入してくる異物に、思わず口を外して息を詰まらせる。
口の愛撫はそのままに、先走りを絡めた指が後ろに入り込んできたのだ。

「口…離れてる、…よ…」
「そ…」

んな事言ったって。
抗議の言葉は、後ろで蠢く感触に阻まれて続けられなかった。
前だけとは、全然質が違う感覚なのだ。そこからの刺激は。

「……ぅっ…、く…」

苦しげに声を耐えるも、恭弥の指は容赦なく、ぐにぐにとポイントを擦ってくる。
(この…、やろ…)先にもした悪態をつきながら、ディーノは何とか恭弥のモノを咥えて、再び舌を這わせた。
前と中からの快感に翻弄されそうになるのを必死で耐え、舌先で先端をなぞり、愛撫する。

「んっ…、…んん…っ…ふ…、ぅ」

蠢く指がぞくぞくとした快感を生み出し、頬張った口の隙間から吐息が漏れる。
増やされた指の快感が募り、擦る指が熱く感じられて。息苦しさも相まって…、眩暈がした。

(違う…、指が熱いんじゃない…、自分の…)

ぼう…っとした頭でそう思った時、恭弥が息を詰まらせて、唐突に口内で精が弾けた。

「っん…、ぅ…、んっ…ん…」

懸命に喉を鳴らしながら、遅れる事数呼吸。ディーノもまた恭弥の口腔へと、解き放った。



back

2007.11.01

やべ。どんどんマニアックに…(爆)