9:体の奥が蕩けそう


ぽた、ぽたと顔に降る雫に、薄目を開けると。
息を荒げ、快感に染まる恭弥の顔が目に入る。流れる汗が、身体を揺らす度に飛び散ってくるのだ。
時折身体を止めて息をつく様子に、快感に浮かされつつも、さすがに疲れてきたんだな、とディーノは感じていた。

「きょ…ぅ…、や」

擦れた吐息で名を呼んで、再度揺さぶろうとしていた身体を手で止めた。
当然、不満そうな視線が向けられる。それに小さく笑って、手を伸ばし、恭弥の額の汗を拭った。

「体勢…、変えたいだけだって」

怒るなよ、と笑ってから、ディーノは肘をベッドに付いて繋がったまま身体を起こそうとする。
中のモノも一緒に動かされ、眉を寄せて息を詰めるが、恭弥は彼の意図を察して腕を掴むと。
そのままベッドの向こう側へ、自分を倒れさせた。引かれる勢いで体勢は反転する。

「…っ、…く…」

馬乗りになる格好になり、ディーノはたまらずにうめいた。
自分の体重で接合部が深く密着して、普段感じない最奥まで抉られる。
圧迫に暫く動けずにいると、く…、と下から僅かに揺らされた。

「…ぁっ、…う…、ごくなって。オレが…シてやっから…」
「今日は…、随分と…積極的だね」
「久しぶりだから、甘やかしてやってんだよ」

ディーノは熱く息を吐きながら、そう言って微笑を浮かべた。
上気した頬と潤んだ瞳が艶かしく、煽られた恭弥の熱が、体内で膨張する。
感じる内部に息を詰めるも、ディーノは両手をベッドについて、膝に力を入れた。

「……はっ…、ぁ…、」

ずるり…と、抜ける感触に、ぞくぞくと背筋を快感が通り抜けた。
途端に力が抜けて、自らの体重で身体が落ち、再び深く入り込む。

「……やるなら、しっかり…やってよ。センセィ…?まどろっこしい、よ?」

緩慢なディーノの動きを嘲笑するように、恭弥は手を伸ばして二人の間にあるディーノのモノに触れた。
前から起こる快感に、身体を支えていた腕が崩れそうになる。

「…ぅ…ぁ、…触るなって。動けなく…なるだろ」
「だったら…ちゃんと、やって。我慢できなくなる」

ベッドのスプリングを揺らして、恭弥は自身を擦らせた。
動かされる内部に、喉奥で悲鳴を上げる。
はぁはぁ…と荒く呼吸をして、ディーノは懸命に膝に力を入れ、腰を動かし始めた。
それを助けるように、恭弥も浮いた身体を見計らって下から突き上げる。

「んっ…ぁ…、あ、ぁ…っ」

ぎしぎしとベッドが軋み、それに呼応するように嬌声が部屋に響いた。
深く深く飲み込まれる恭弥の灼熱の熱に、身体の奥が蕩けてしまいそうな錯覚を覚える。
自分がどんな淫らな格好を見せているかなんて、思考にはなかった。
擦れる摩擦が熱くて、熱くて。たまらなく気持ち良くて。
跨った身体を夢中で揺らし、快感を貪る。

快感を現すように、ディーノの張り詰めた前のモノからとろとろと液体が流れる。
自分の上で身体をくねらす姿が壮絶にいやらしく、薄目で見上げていた恭弥は、唾を嚥下した。

「…ぁ…、くっ…きもち…ぃ…か?…きょ…や」
「っ、ぅ…ん、…いいよ、凄く。あなたの…イヤラシイ姿…たまらない、ね…」
「ば…、っか…。見るな」

擦れた恭弥の言葉に自分の姿を思い知らされて、上気した頬が更に熱くなる。
ディーノは片手で恭弥の瞳を覆って、ぎゅ…と内部に力を入れた。
抗議するように自身を引き絞られ、恭弥は息を詰めた。
それに気を良くして笑みを浮かべると、覆い被さって唇を合わせる。

「…っ、ぅ…んん…」

濡れた舌が絡み合い、唾液の音が耳朶を擽る。
熱く吐息をついて、目に被さる手を外し、視線を合わせて「ねぇ…」と囁いた。

「なに…?」
「少し腰を浮かせて、膝に力を入れていなよ…」

甘く誘うような声に、ディーノは何も考えずに言われた通りにする。
ぐ…と足に力を入れて、繋がりが外れそうになる所まで腰を上げると。
離れた隙間を埋めるように、恭弥が下から腰を動かして、内部に突き入れた。

「……ぁっ!…ぁ、ぁ…っ」
「駄目…、崩れないで。力いれて腰、上げてるんだよ…」

衝撃に力が抜けそうな身体を、恭弥の声が引き止める。
ディーノは頭を恭弥の肩口に突っ伏して、懸命に膝が崩れないように力をこめた。
その空間を利用して、恭弥は何度も下から突き上げる。
今までのでは物足りないと言わんばかりに、激しく灼熱の塊が体内を往復して。
擦れる摩擦に、熱くて溶けてしまいそうだ。

「…っぁ、恭弥…、きょうや…ぁ…っ、も…イ…っ…く」
「んっ…、イイよ…僕も…、…いく…から」

切羽詰まった声に合わせて、ぐ…っと最奥を抉ると。
引き攣った甲高い声と共に、ディーノは欲を迸らせた。
きゅうぅ…と収縮する中につられて恭弥も達する。

ぽたぽた…と恭弥の腹に精液が落ちて流れた。
強烈な快楽に、硬直していたディーノの身体が横に崩れ、ずる…と中のモノが抜かれる。
それにすら感じるのか、ひゅ…、とかすれた息を吸って身体を震わせた。

恭弥は指を伸ばして、金の髪を梳いて隠れる顔を眺める。
ぼう…っと視点の合わない虚ろな瞳が現れ、にやり…と、口端をつり上げた。

あなたが、墜ちるまで…あと、僅か。


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2007.12.17

やり過ぎ(笑)コメントもできなくなってきました(笑)