「ルック……今日は、そんな気分じゃ無いんだ…」
伸しかかり、先に進める行為の為に服を肌蹴ようとする手を、フリックはやんわりと押し止めた。

 どうして…?

身体の両脇に手を付いて、覆い被さるように覗き込む緑の瞳が言外に問う。

「何時も、そんな事言わないじゃない……」

求められるままに、差し出される身体。何かの代わりとでも言う様に拒まない、彼……

何かしらの言い訳があるんだろうと、一応…聞く体制で手を止めてやる。
その答えを、自分は知っていたけれど―――

「何となく……今日はしたくないんだ…」

困った顔で苦笑いをして見上げる、深い深い…海の色。

正直に言ったら、止めてあげても良かったのに……
想いを隠し誤魔化す様子に、苦々しく目を細める。

「そんなんじゃ…止まらないよ」

意味のない拒否を無視して、無理矢理に唇を合わせた。
押しのけようと自分の胸に当てられた手は、抵抗の意思があるとはとても思えない程……弱い。

深くなる口付け…それ以上何も言わないフリックに、もう止める理由は無かった。



  
それは免罪符のつもりなの……?



言えない言葉は、絡まる吐息と共に……暗闇へと飲み込まれた。

 

 

 

next